言語聴覚士の仕事は、話す・聴く・食べるといった生きるために大切な能力をサポートする仕事です。患者さんの人生や生き方に関わる仕事のため、やりがいや魅力も大きいですがその分大変な面や苦労する面もあります。事前に知っておくことで、対策も立てることができます。
言語聴覚士に関わらず医療分野やリハビリ分野の人たち全般に言えることですが、患者さんの生死に関わる業務が多いため常に高い技術と新しい知識が求められます。
技術はリハビリテーションだけでなく、コミュニケーションスキルについても高めていく必要があります。患者さんに合った適確な判断をするためには現状を正しくヒアリングしなければなりませんが、うまく話せない患者さんにとって自分のことを正しく説明することが難しい場合もあります。そういった場合にどうやって情報を引き出すかも言語聴覚士の技術のひとつです。
また、国家試験に合格したから終わりではなく、日々新しくなる業界を知って吸収していかなければなりません。余裕がある時は他職種や関連する他分野への理解を深めるために勉強会に参加するなどの努力が必要です。
常に向上心を持って勉強し続けられる人でないと、言語聴覚士の仕事は大変だと感じるでしょう。
言語聴覚士が担当する患者さんは、人間の喜びの大きな部分を占める話すことや食べることに困難を抱えている人です。そのため患者さんの精神状態が不安定であったり、言語聴覚士にきつく当たる人や理解を示さない方も少なからずいらっしゃいます。
また、リハビリを続けていく途中でもなかなか効果が見られない時や、リハビリが辛くて拒否したくなる時、前向きになれない時などもあるでしょう。
そういった場合でも患者さんをリハビリに導くために、良い関係を築いている必要があります。患者さんに信頼してもらい、こちらも患者さんを良く観察し良く知ることが大切です。
人間関係の構築には慣れるということがなく、一人ひとり違う対応が必要になるために苦労する人も多いです。ですが、人とのコミュニケーションんを得意とする人や、強い志を持つ人ならば乗り越えられるでしょう。
言語聴覚士の主な仕事はリハビリテーションですが、リハビリは一朝一夕で効果が感じられるものではありません。その日にリハビリをして帰る時には改善されているということはごく稀で、場合によっては数年の単位をかけながら徐々に回復を目指していくというものになります。
このようにリハビリ計画が長期的になると、途中で効果を感じられず自分のやり方が合っているのかどうか、これでいいのかといった迷いや不安を感じることもあるでしょう。合わせて、「この仕事をやっていてよかった!」と達成感を感じるような節目も少ないということになります。
短期的には成果がでないものと割り切って将来を見据えた治療を地道にし続けるのが言語聴覚士の仕事です。また、短期的には成果がわからないと言えど毎回の細かな変化を感じ取り訓練に活かしていく繊細さも必要になります。
仕事の手ごたえを感じられず言語聴覚士は大変だと感じることも多いでしょう。しかし、患者さんの人生を通して支えていく大きなやりがいのある仕事だということを忘れず、根気強い訓練を続けていくことで必ずいつか成果を実感することができるはずです。