言語聴覚士は、「話す」、「聞く」、「食べる」などの障害や悩みを持つ人に対して、支援や指導を行う職業です。比較的新しい職業でありまだまだ人数が足りておらず、今後需要が伸びていくことが期待されています。ここでは、言語聴覚士の需要や将来性について説明します。
言語聴覚士は、1997年に国家資格として制度が始まった比較的新しい職業です。現在は累計34,489名の言語聴覚士がいます(令和2年3月時点)。しかし、同じリハビリテーションの専門職である理学療法士(182,893名)と作業療法士(89,717名)に比べるとまだまだ全国的に不足しています。
言語聴覚士は、様々な医療や福祉の現場で働くことができるため、働き口は多岐に渡ります。また人間の生活に欠かせない、話すことや食べる事に特化した専門職ですから、老若男女どんな患者にも求められている仕事です。特に高齢化社会が進み、飲み込みに問題を抱えた老人に対する需要が急増しています。
そういったことから、言語聴覚士に関しては供給よりも需要が圧倒的に高い職業となっています。就職先に困るといったことはあまり考えられず、医療や福祉の現場では選択肢も豊富にあるでしょう。
現在言語聴覚士の需要が高いことは前述した通りですが、それは将来的にも続くでしょう。なぜなら日本は2025年に超高齢化社会を迎えると想定されており、その後も急激に解決されることは考えにくいためです。
超高齢化社会を乗り切るために「地域包括ケア」という高齢者の暮らしを地域で包括的に支えましょうという考え方が推進されており、言語聴覚士もその一端を担っています。地域包括ケアを進めるためにはまず地域で環境を整備していかなければなりません。そのため、今後さらに言語聴覚士の就職先となるような病院や施設が拡大していくでしょう。それに比例して言語聴覚士の配置数・求人数も増加していくことが予想されるため、言語聴覚士の将来性は高いと言えます。
言語聴覚士は新しい職業ですが、その認知が広がるにつれて様々な場所で需要が出てきました。医療・介護の現場だけでなく、学校教育や児童関連施設で活躍する言語聴覚士も増えていきています。
また、呼吸器リハビリテーション・難病患者リハビリテーション・脳血管疾患等リハビリテーションの施設基準に言語聴覚士の追加が決定され、医療機関においても活躍できる病棟や役割が拡大しています。
その他、訪問リハビリテ―ション等において歯科と連携した医療を進めているところもあります。歯や口腔ケアをまとめて行えるといったメリットがあるためです。また嚥下の問題に関しては管理栄養士と連携することもあり、様々な専門職と関わり合うことで言語聴覚士の活躍の場は拡がっています。
言語聴覚士が活躍できる場が増えてくると、提供するサービスの質も高いものが求められます。そしてまだまだ人数が少ないことから、一人ひとりの知識や技術が重要になってきます。
言語聴覚士として働くうえで必要な知識は、生命科学や脳科学など様々です。言語聴覚士は、常に新しい情報を頭に入れ、業務を行わなければなりません。資格を取得してからも、勉強を怠らないことが求められています。