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【教員コラム】社会福祉士国家試験の難易度とは?「ソーシャルワークの視点」で考える学び方|社会福祉士養成科(夜間部)

2025/03/13

こんにちは!日本福祉教育専門学校です。

本日は、社会福祉士養成科(夜間部)学科長 片桐先生のコラムをご紹介いたします。

 

 

日本福祉教育専門学校社会福祉士養成科の片桐です。

当校の当科に入学を希望する、そんな社会人全員が気になる社会福祉士国家試験の難易度です。というのも、当科は社会福祉系の大学と異なり、全員が社会福祉士の取得を目指すからです。

資格取得のためだけに存在するのが、専門学校という箱の中にある一般養成施設(=https://www.sssc.or.jp/shakai/shikaku/s_12.html)の特徴であり、当科は一般養成施設の一つです。

 

ただ、そうであるがゆえに、一般養成施設としての当科は資格予備校と勘違いされることが少なくありません。

また、社会福祉系の大学と比べて国家試験の合格率が格段に高いこと(https://www.nippku.ac.jp/school/point/rate/)も、そのような誤解を招く要因となっています。

その誤解を解くためにも、また、国家試験の難易度を知るためにも、当科に流れるノリそのままで、国家試験の過去問をここで解説してみましょう。

 

せっかくなので、まだ結果すら出ていない、それゆえこのコラムを見る方々もネット上の情報だけを見て「国家試験が難しくなったらしい」「合格できるだろうか?」と気になっているであろう、今年の2月2日に行われた国家試験の第1問目をやってみましょう

 

第1問目は、試験科目として19科目あるうちの1つ、「医学概論」の問題です。

とはいえ、そんな問題を解説する私片桐は「医学概論」の講義をもっていません。医師でも看護師でもありません。

 

でも、正解はわかるのです。

なぜなら、私はソーシャルワークを知っているから。

そして、社会福祉士国家試験の19科目すべての科目名には、「ソーシャルワークを踏まえた」という接頭辞が省略されているからです。

 

社会福祉士のカリキュラム上の「医学概論」は、医学部で学ぶ医学モデルとしての「医学概論」ではありません。

『ソーシャルワークを踏まえた』医学概論」なのです。
さぁ、それではさっそく第37回社会福祉士国家試験の第1問目を眺めてみましょう。

 

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【問題1】 思春期・青年期における心身の特徴に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

 

1 思春期には,男女ともに緩やかな身体の変化がみられる。
2 思春期における心理的特徴としては,自意識過剰がある。
3 思春期には,アイデンティティは形成されている。
4 第二次性徴に性差はみられない。
5 青年期の死亡原因としては心疾患が最も多い。

 

第37回社会福祉士国家試験(2025年2月2日実施)より抜粋

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この問題を見る限り、形式上は医学の知識を問う問題に見える方がほとんどだろうと思います。

実際、一般教養に関する一定程度の知識がある人ならば、社会福祉士の学びをしていなくても、選択肢2に〇をつけられるでしょう。

この問題をそんなふうに見てしまうと、正解を導く根拠は「一般教養に関する一定程度の知識」となり、そんな知識を暗記する時間的余裕のある大学生有利の試験のように思えてしまいます。

 

そのため、社会福祉に関心を持ちつつも国家試験に不安を抱える社会人は、当科を「国家試験に出るところだけ効率よく暗記できるよう教えてくれる資格予備校」と勘違いするだけでなく、誤った期待を当科に抱いてしまいがちです。

しかし、19科目という科目数を考えればすぐわかりますが、そんなやり方ではフルタイム勤務の社会人学生はどう考えても国試合格なんてできません。

 

しかし、第1問目が「『ソーシャルワークを踏まえた』医学概論」であることがわかれば、正解はソーシャルワークの観点を踏まえたものになるはずです。

 

なぜなら、経験豊富な社会人を含め、ソーシャルワーカーが増えることを願う社会福祉研究者(=国家試験問題作成者)は、「ソーシャルワークとはこういう視点を持つものだ」ということを、五肢択一という国家試験の問題形式を通して、国家試験の受験生に伝えようとしているからです。

ましてや第1問目です。

それは国家試験の表紙とも言えます。

これがソーシャルワークだ!」ということを、表紙で示そうとしているはずです。

 

まず、五肢択一はただ〇×5つの羅列ではありません。

五肢択一にはタイトルがあり、そのタイトルを踏まえて、ソーシャルワークの観点から大事なことに〇をつけさせる、そういうゲームです。
さて、この問題のタイトルは「思春期・青年期における心身の特徴」です。

 

そして、思春期・青年期とは「子どもが社会的に認められた大人になるプロセス」に位置づけられます。

そして、社会に認められるような大人に変化することを、社会は歓迎します。

そんなプロセスのあり方について、選択肢1,3,4,5は突いてきています。ただし、選択肢2にある「自意識過剰」は、社会から歓迎されない傾向にあります。

 

そもそも「過剰」とは、何を基準にしているのでしょうか。

言うまでもなく、「社会」から見て過剰なのです。「社会」とは、「社会に適合した身体や心理」を持つ「大人」を「良し」とする価値観を是とします。

 

そんな「大人」になる一歩手前にある「思春期・青年期」においては、自意識過剰、つまり非社会的に見えることがあるのです。

この時期特有の「プロセス」であることを知らない「大人」は、そのような非社会的な在り方を善意で止めようとします。そんな「大人」は、「自意識過剰」にならない思春期こそが、思春期の「理想的な(=良い)」通り過ぎ方だと思うことでしょう。

反抗期なき青年を「良し」とし、自意識過剰な青年と区別しようとすることでしょう。

 

しかし、ソーシャルワークの見方は異なります。

ソーシャルワークは、思春期・青年期に特有の「自意識過剰」にこそ可能性を見出すのです。

「大人」に対して、揺るぎない強いアイデンティティや、決まりきった「男」「女」という性差を強く求める今日の「社会」に対し、あらゆる人が生きやすい社会」(=ソーシャルワークの最終目標)を模索する契機として、思春期・青年期特有の「自意識過剰」を良くも悪くもまず焦点化しようと、ソーシャルワークは考えるのです。

 

それを理解していれば、例えば、以前このコラムでも紹介したスクールソーシャルワーカー(=https://www.nippku.ac.jp/topic/?p=23954)は、思春期・青年期にある「自意識過剰」な若者を、無理に学校に通わせるようなことはしません。

むしろ、「自意識過剰」な思春期・青年期を新たな社会につながる可能性と捉え、学校や地域を巻き込みながら活動を展開していくのが、スクール「ソーシャルワーカー」なのです。

 

当科では、そのようなソーシャルワークの見方・考え方を身につけてもらいます。

そして、その結果、当科の社会人学生は1年で社会福祉士国家試験に合格するのです。

なぜなら、ソーシャルワークの見方・考え方を身につけた社会人経験豊富な人材を社会が求めており、社会福祉士国家試験は社会人を落とす試験ではなく、そのようなソーシャルワーカー人材育成するためにあるからです。

 

 

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