2019/08/05
子どもが生まれつきの機能障害や、自閉症などの障害をもっていた場合に、
その子の状態を基準として、機能発達を目標にすることがあります。
回復するための治療ではなく、機能のさらなる有能化を目指すリハビリテーションをおこないます。
子どもと関わる言語聴覚士の仕事内容
たとえば発達障害の場合、保護者がわが子の発達の凸凹に気づくのは、
1歳6か月健診や3歳児健診がきっかけになることが多いです。
そこからわが子を「療育」への扉を開けるまでには、悩みや葛藤がおこります。
そんなとき子どもと関わる言語聴覚士に求められることは
「子どもの姿に寄り添って、その子の特性を生かしていくこと」です。
子ども一人ひとりが違った特性をもっていることを理解して、
その子に合った丁寧な関わり方や向き合い方が求められます。
1、小児療育・教育機関での仕事内容
療育や教育機関での言語聴覚士のリハビリの仕事内容は、病院などの医療機関でのリハビリとは少し違っています。
医療機関では机に座っての訓練や指導をおこないますが、療育や教育機関で働く言語聴覚士は保育園・幼稚園や学校を訪れて先生方にアドバイスをしたり、療育クラスに参加して保育士とともに指導したりと、いろいろな働き方の可能性があります。
全国の学校に設置されている「ことばの教室」・「きこえの教室」や「自閉症・情緒障害通級指導教室」などの通級教室教員の仕事内容とも共通点が多くあります。
2、育児不安を抱える家族への支援
発達のアンバランスさや遅れが気になる子どもは、赤ちゃんの頃からなかなか寝なかったり、泣き方が激しいなど、家族がその育て方に違和感を持つこと多いようです。
特に母親は、「自分の育て方が悪いの?」と自責の念をもってしまいがちです。
ですが、医療機関や療育でも受診や相談をして、言語聴覚士からアドバイスや指導を受けることで、家族は肩の荷が下りたような気持ちになり、その子の成長ペースを認める余裕ができることで親子関係も良好になっていく場合も多く、また虐待予防にもつながります。
3、発達障害の治療ケア「療育」とは?
「療育」とは、リハビリ(訓練)をして周りの子たちに追いつかせるものではありません。
発達障害は脳の小さな不具合から生じており、治療で治せるものではありません。
脳のちょっとした不具合を持ちつつ、接し方で、その子なりの一番よい姿を見せてくれるようにするのが「療育」です。
「療育」では、その子ひとりひとりに合わせて無理なく発達できるように接します。
普段は「できない」ことが多く、自尊心が傷つくことがある子どもたちに、少し頑張ればできる遊びや課題を提供します。
すると、「やればできる!」「できた!」という喜びが得られ、自己有能感につながります。
その子が、やりたいことを見つけ自分らしく生きることを支えていくための基礎を作るのが「療育」です。
子どもに関わる言語聴覚士の今後の課題
子どものための言語聴覚士は少なく、
健診や子育て支援に関わる言語聴覚士となるとさらに少数になっています。
しかし、実際の社会では、多くの保護者や家族は、子どものことばの発達に関するアドバイスを求めている現状があります。
これからは、健診に言語聴覚士が参加しやすくなる仕組みづくりや、気軽に相談できる期間を増やしていくことが課題として挙げられています。
そして、言語聴覚士の養成では子どもの言語やコミュニケーションの発達についての学習に重きを置くことで、さらに子どもと保護者を支えられる言語聴覚士が増えて、ますます子育て支援ができる専門職として活躍することができます。
※こちらの記事は入学検討者向けに掲載しているため、簡易的な説明となっております。
転載・流用はご遠慮ください。