2020/10/29
精神保健福祉士(PSW)もカウンセラーも、人の心の問題に関わる仕事です。
実際にキャリチェンジを目指すときに、その違いについてわからなかったり、
迷ってしまったりしていませんか?
今回は精神保健福祉士(PSW)とカウンセラーとの違いについて
それぞれどこか違うのかわかりやすく説明します。
「カウンセラー」といっても、国家資格から民間の資格までさまざまあります。
これまで心理の専門職としての国家資格はありませんでしたが、
平成29年に「公認心理師法」が施行し、国内初の心理職の国家資格として
「公認心理師」が誕生しました。
「公認心理師」と似ている職業で、民間資格ではいくつかの資格があります。
一般的に“カウンセラー”として認知されているのが「臨床心理士」かもしれません。
この資格は指定の大学院を修了して受験することなど、
比較的カウンセラーの資格取得のなかでは高学歴とも言える資格です。
心理系の民間資格のなかでは最も高い信頼性として位置付けられてきた
資格と言えるかもしれません。
ただし、あくまで協会認定の資格のため、国家資格ではなく民間資格と
いう位置づけになります。
そのほかに、「産業カウンセラー」という資格名をご存じの方もいらっしゃると思います。
この資格は協会の養成講座を修了した方に受験資格があり、
「臨床心理士」とおなじく民間資格になります。
さらに、「認定心理士」という資格もありますが、こちらも学会認定のため、
民間資格です。
このように、「カウンセラー」と呼ばれるにはいろいろな資格があり、
必要な学歴や取得条件にも違いがあるので、それぞれ確認してみるとよいでしょう。
精神保健福祉士は、臨床心理士など民間資格とは異なり、
資格取得ルートでも違いがあります。
「精神保健福祉士」は国家試験を受験するためにさまざまな方法があり、
高卒の方や福祉系大学を卒業していない方でも、
養成施設に通って国家資格を得ることができます。
「臨床心理士」のように指定の大学院を卒業していないと受験資格が得られず、
さらに資格に取得後に5年ごとの資格更新審査の義務付けということもありません。
国家資格である「精神保健福祉士」は、国家資格ということもあり社会的な信用度もあり、民間資格であるカウンセラーよりも良い待遇で働けるケースが見られます。
精神保健福祉士とカウンセラー(ここでは臨床心理士)は、
精神疾患をお持ちの方から精神的情緒に課題を持つからと接していく
という点は変わりません。
ただし、仕事内容には大きな違いがあります。
①精神保健福祉士の仕事
社会復帰の実現をするために「生活レベル」でのアドバイスやサポートを
おこなったり、 地域で利用できる福祉サービスの情報提供をおこないます。
精神科ソーシャルワーカーや精神科ケースワーカーとも言われ、相談援助が仕事です。
②カウンセラー(臨床心理士)
心理的な側面が強く、カウンセリングを用いたり、個々の患者と
心の問題を解決していくことがおもな業務です。
このように、精神保健福祉士は日常の支援、
カウンセラー(臨床心理士)は臨床心理技法によって相談者の心の問題を
解決することを目的としています。
そのため、仕事内容は別のものとなります。
精神保健福祉士とカウンセラー(臨床心理士)では活躍できる場所でも違いがあります。
それぞれのおもな職場について知っておくとよいでしょう。
①精神保健福祉士の就職先
おもに一般病院、精神科病院、精神科クリニック、心療内科クリニック、障害者施設、
一般企業、公的機関 など
②カウンセラー(臨床心理士)
カウンセリングルーム、病院、NPO法人、一般企業 など
臨床心理士の資格を持ちつつ、さらに活躍の場を広げるために
国家資格である精神保健福祉士の国家資格を取得といったキャリアアップをする
カウンセラーの方もいます。
精神保健福祉士はこの資格だけでも専門職として就職できるため、
加えて民間資格を取得しなくても正規雇用はされるケースが多いようです。
なかには公務員試験を受けて行政でソーシャルワーカーとして仕事をしている
精神保健福祉士もいます。
このように、精神保健福祉士とカウンセラーにはそれぞれの仕事内容や就職先に
違いがあることがわかります。
人の心に寄り添う専門職として、どのような関わり方で、
どのような職場で働きたいのかによって目指す資格を考えてみると
整理しやすくなります。
今日の少子高齢化やストレス社会によって精神保健福祉士やカウンセラーの需要は
益々高まっており、これまで以上に教育機関、司法施設、更生施設など
活躍の場が増えることが期待できます。
これからのキャリアアップ、キャリアチェンジの参考にしてください。
※こちらの記事は入学検討者向けに掲載しているため、簡易的な説明となっております。
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